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元ひきこもり当事者として共感する中世ヴァイキングの闘いの日々

『ヴィンランド・サガ』(既刊28巻)
幸村誠著/講談社

https://kc.kodansha.co.jp/title?code=1000000195

この漫画は実際の史実を元にしたフィクションになります。舞台は11世紀の北ヨーロッパ、まだ争いが絶えず、ヴァイキングが近隣の国々を荒らし回っているような時代背景の中で物語は繰り広げられていきます。
なぜ私がこの作品を紹介したいと思ったのか。それはズバリ作品内の丁寧な心理描写に共感を覚えたからです。
ネタバレを抑えての紹介になるため少し伝わりづらくなりますが、主人公のトルフィンの人生は想像を絶する程に辛く、物語中も怒りや喪失を感じさせる描写が続きます。
この主人公の描写が自分の生きづらかった過去の経験と重なります。

私自身、過去に約10年間ひきこもり生活を送ってきました。主人公が怒りに任せて復讐に明け暮れた日々も約10年間の年月が経っています。
私は、ある日突然学校に行けなくなり、その後は何度も立ち直ろうとするものの上手くいかず、家の中では毎日怒りに苛まれていました。このときの私の苦痛の日々と主人公トルフィンの闘いの日々が重なり合い、立ち直った今でもこの作品に共感してしまうのです。
またその後の主人公が立ち直る過程は、これまでの価値観を捨てて生きていくことの難しさを感じるとともに、新たな価値観により変わっていくことの大切さを感じられる作りになっています。
苦しみを経てもう一度自分自身を生き直していく、挫折を経験した方には特にオススメできる一冊です。(菊)