突然会社を辞めた父の本音を知りたい。そうだ、ゲームを贈ろう――父子映画の傑作!
映画『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』
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友人、同僚、家族……。周りの人とうまく話せない時がある人は、少なくないかと思います。
僕もその一人です。最近になって30歳を超え、不器用ながら少しずつ会話を楽しくできるようになってはきましたが、そうは言ってもうまく会話できない相手もいます。時には、会話につまづいて険悪な関係になった人もいます。
では、どうすれば、いろんな周りの人と上手く楽しく話せるのだろうか。
そんな力不足を内心抱えながら生活していた時、Amazonプライムで観たある映画から、新たなパワーと少しばかりの自信を貰えたことがありました。
『光のお父さん』というタイトルの映画です。簡単に説明すると、広告会社に努める会社員の息子と定年間際で会社を退職した父親が、お互いのすれ違いを解消するまでの物語。そして、すれ違いを解消するためにオンラインゲームが大きな一役を買うことになる、といった映画です。
5分程度のPVも公開されておりますので、是非一度ご視聴いただけますと嬉しいです。PVを観た後に続きをお読みいただけると内容が頭に入りやすいかと思います。
この映画の中で僕が特にお伝えしたいのは、PVや評価サイトのレビューにはあまり載っていないことです。
何かというと、冒頭に書きました、周りの人とうまく話すためには?について。
映画の中で、主役となる父親と息子がゲーム上でお互いの抱える悩みについて相談するシーンがあります(この時、息子は相手が父親だとわかっていますが、父親は相手が息子だということを知りません)。
息子は、仕事で参加する企画コンペで(複数の会社が自社をPRして、相手の会社がその中から1社を選び、仕事をお願いする会社を決めること)、自分たちをどうPRしたら良いのか悩んでいました。
一方の父親は、娘(=息子の妹)が連れてきた彼氏に対して良い印象を持てず、そのことで娘と喧嘩をしてしまい仲直りできずにいました。
お互いが相手とのコミュニケーションに苦労しており、自分では解決できずにいたのです。
すると、父親は息子に対して、自分の経験から「先方は、どんな想いでこの仕事、この企画に臨んでいるのでしょうか?先方は、自分の立場になって考えてくれる人と仕事をしたいと思っているのではないでしょうか?」とアドバイスしました。
逆に、息子は父親に対して「娘さんの彼氏のことをどこまで知っていますか?ゲームと同じだと思うんですよね。敵を倒すには、敵の攻撃パターンや弱点を理解して初めて攻略法が見つかりますよね?」とアドバイスしました。
詳しくは映画の方にてご確認いただけたらとは思いますが、結論として息子は無事にコンペを通過して仕事の受注が実現。父親は娘とその彼氏とのわだかまりが解消されました。
息子も父親も、無事にコミュニケーションの課題を解決することができました。
一方で、こうしたお互いを励ますやりとりは、実際に面と向かっては実現しませんでした。ゲーム上でお互いが匿名な関係性だったからこそ成立したとも言えます(正確には、息子の方は相手が父親だと知っていたのではありますが)。
では、ゲーム上であればこちらの父子のようなフランクなやりとりがすぐできるようになるのでしょうか? 僕は、それだけでは難しいのではないかと思います。
ゲーム上でこうしたフランクなやりとりができる関係性は、同じ物事に対してお互いが「夢中になり、真剣に取り組み、一緒に壁を乗り越える」からこそ築くことができるのではないでしょうか。
息子の方はそもそもゲームに熱中しており、ゲームが上手い。父親の方も、最初は素人丸出しの様子でコントローラーやキーボードの使い方すらわからなかったのですが、周りの人にアドバイスを求めたり、攻略動画を観て必死にメモをとったり、自分で攻略本を買って本が付箋でびっしりになるほど必死に読み込んでいました。
そのおかげもあり、父親と息子が同じチームになって少しずつ強いボスを倒せるようになりました。
まさに、同じ物事に対してお互いが夢中になり、真剣に取り組み、一緒に壁を乗り越えた。この経験があったからこそ、苦労や喜びの分かち合いが生まれ、心理的に安心・安全を感じられる関係になれたのだと僕は思います。これは父と子どもだけでなく、友人や同僚との関係でも同じことが言えると思います。
『光のお父さん』を観ていたら、相手を理解するためのヒントを感じたとともに、「夢中になり、真剣に取り組み、一緒に壁を乗り越える」という、大人になってからは遠のきがちなチャレンジをしたくなりました。
「光のお父さん」は、Amazonプライムでは映画版を、Netflixではドラマ化されたバージョンを観ることができます。
ストーリーがシンプルでわかりやすく、ゲームに関する難しい言葉や内容もほとんどありません。その上で素直に感動できます。
よろしければ是非一度、ご視聴いかがでしょうか。(央)